Pumaとは何か
Pumaは、Ruby/Rackアプリケーションのためのシンプルで高速なHTTP 1.1サーバーです. Pumaは、開発環境と本番環境の両方で使用することを目的としています.
特徴
- マルチスレッド: 各リクエストは別々のスレッドで処理されます。これにより、より多くのリクエストを秒単位で処理し、メモリ使用量を抑えることができます.
- マルチプロセス: クラスタモードで”Pre-forks”を行い、コピーオンライトメモリによりプロセスごとのメモリ使用量を抑えます.
- スタンドアロン: SSLサポート、ゼロダウンタイムのローリングリスタート、組み込みのリクエストバッファラーを備えているため、リバースプロキシなしでPumaをデプロイできます.
- 戦闘検証済み: HTTPパーサーはMongrelから継承され、15年以上の本番使用経験があります. Pumaは現在、最も人気のあるRubyウェブサーバーであり、Ruby on Railsのデフォルトのサーバーです.
使用方法
Pumaは、Rackアプリケーションのみを実行するように設計されています. Pumaの高速性は、Ragel拡張を用いて高速で正確なHTTP 1.1プロトコルの解析を提供することにより実現されています.
Pumaは、gem install puma
でインストールし、puma
コマンドで起動します. 引数なしでpuma
を実行すると、作業ディレクトリでconfig.ru
という名前のrackup(.ru)ファイルを探します.
Pumaと他のアプリケーションサーバーとの比較
Pumaは、マルチスレッドとマルチプロセスの両方をサポートしています. これにより、大量のアクセスを効率的に処理することができます. 一方、Unicornはマルチプロセスで動作します. 重たい通信があった場合、その通信でブロックされて全体が重くなる可能性があります. これに対処するためには、UnicornのWorker数を増やす必要がありますが、CPUのコア数による処理制限があるため、無闇に増やすことはできません. しかし、Unicornで動かす場合は、マルチプロセスなのでスレッドセーフは保証されています.
WEBrickとは何か
WEBrickは、Rubyの標準ライブラリに含まれるHTTPサーバーフレームワークです. このライブラリは、HTTPサーバーを簡単に作成することができます.
特徴
- 汎用性: WEBrickは、HTTPサーバー、HTTPSサーバー、プロキシサーバー、仮想ホストサーバーなど、さまざまな種類のサーバーを作成することができます.
- サーブレット: WEBrickは、サーブレットというサーバーの機能をオブジェクト化したものによって動作します. サーブレットは、ファイルを読み込んで返す、スクリプトを実行する、テンプレートを適用するなど、「サーバーが行なっている様々なこと」を抽象化しオブジェクトにしたものです.
- 認証: WEBrickは、基本認証とダイジェスト認証をサポートしています.
使用方法
WEBrickは、gem install webrick
でインストールし、require 'webrick'
で呼び出すことができます. サーバーの設定はハッシュ形式で行い、WEBrick::HTTPServer.new
でサーバーを作成します. サーバーはserver.start
で起動し、trap('INT') { server.shutdown }
で停止します.
WEBrickと他のアプリケーションサーバーとの比較
WEBrickは、Rubyの標準ライブラリに含まれているため、Rubyがインストールされているすべてのマシンで利用可能です. そのため、RailsやRackなどのフレームワークは、デフォルトの開発WebサーバーとしてWEBrickを使用しています. しかし、WEBrickは主に開発環境での使用を目的としており、本番環境では他のアプリケーションサーバー(例えばPumaやUnicorn)が推奨されています.
PumaとWEBrickの違い
PumaとWEBrickは、どちらもRuby/RackアプリケーションのためのHTTPサーバーですが、その設計思想と機能にはいくつかの違いがあります.
マルチスレッドとマルチプロセス
- Puma: Pumaはマルチスレッドとマルチプロセスの両方をサポートしています. これにより、大量のアクセスを効率的に処理することができます. また、Pumaはスレッドセーフなコードを意識する必要があります.
- WEBrick: WEBrickはシングルスレッド、シングルプロセスです. つまり、同時に2つのリクエストが来た場合、2つ目のリクエストは1つ目が終了するまで待たなければなりません.
本番環境と開発環境
- Puma: Pumaは開発環境と本番環境の両方で使用することを目的としています. Rails 5以降では、デフォルトのアプリケーションサーバーとしてPumaが採用されています.
- WEBrick: WEBrickは主に開発環境での使用を目的としています. 本番環境では、他のアプリケーションサーバー(例えばPumaやUnicorn)が推奨されています.
性能とスケーラビリティ
- Puma: Pumaは高速で、マルチスレッドとマルチプロセスにより高い並列性を実現しています. これにより、大量のリクエストを効率的に処理することができます.
- WEBrick: WEBrickはシングルスレッド、シングルプロセスの設計のため、Pumaほどの高速性やスケーラビリティはありません. しかし、開発環境での使用を主目的としているため、この点はあまり問題になりません.
以上の違いから、開発環境と本番環境の両方で高いパフォーマンスを求める場合はPuma、開発環境でシンプルな操作性を求める場合はWEBrickが適していると言えます.
PumaとWEBrickのパフォーマンス比較
PumaとWEBrickは、どちらもRuby/RackアプリケーションのためのHTTPサーバーですが、そのパフォーマンスにはいくつかの違いがあります.
スピードと並列性
- Puma: Pumaはスピードと並列性に重点を置いて設計されています. マルチスレッドとマルチプロセスの両方をサポートしているため、大量のリクエストを効率的に処理することができます. また、Ragel拡張を用いて高速で正確なHTTP 1.1プロトコルの解析を提供することにより、Pumaの高速性が実現されています.
- WEBrick: WEBrickはシングルスレッド、シングルプロセスの設計のため、Pumaほどの高速性や並列性はありません. しかし、開発環境での使用を主目的としているため、この点はあまり問題になりません.
パフォーマンステスト
パフォーマンステストによると、Pumaは時々WEBrickよりも高速である一方で、他の時には遅いこともあります. ただし、Pumaが大幅に高速であるとしても、そのスピードはそれほど顕著ではなく、おそらくリクエスト数が秒単位で1〜5回増える程度です.
以上の情報から、PumaとWEBrickのパフォーマンスは、使用環境やアプリケーションの要件によります. 開発環境でシンプルな操作性を求める場合はWEBrickが適していると言えます. 一方、開発環境と本番環境の両方で高いパフォーマンスを求める場合はPumaが適していると言えます.
どちらを選ぶべきか
PumaとWEBrickの選択は、主に以下の要素によって決まります:
開発環境と本番環境
- Puma: Pumaは開発環境と本番環境の両方で使用することを目的としています. Rails 5以降では、デフォルトのアプリケーションサーバーとしてPumaが採用されています. そのため、開発から本番まで一貫した環境を提供することができます.
- WEBrick: WEBrickは主に開発環境での使用を目的としています. 本番環境では、他のアプリケーションサーバー(例えばPumaやUnicorn)が推奨されています.
パフォーマンスとスケーラビリティ
- Puma: Pumaは高速で、マルチスレッドとマルチプロセスにより高い並列性を実現しています. これにより、大量のリクエストを効率的に処理することができます.
- WEBrick: WEBrickはシングルスレッド、シングルプロセスの設計のため、Pumaほどの高速性や並列性はありません. しかし、開発環境での使用を主目的としているため、この点はあまり問題になりません[^2